2020/07/16
ばにらの叫び声で目が覚めた。
メープルが妊娠中のばにらにのしかかっているのが見えて飛び起きて追い払った。
いくるんに頼んでドアを閉めてもらい、寝室には私といくるん、ばにらとケージの中のとっと君だけになった。
その後どうも様子がおかしいばにら。普段はベッドに登ってこないのに、足首にばにらと思しき毛並み感じる。
なんだかシーツが濡れている気がすると思ったのも束の間「起きて!」といくるんの呼び声。
見るとばにらは破水していて、彼女の股のあいだに肉の塊が転がっていた。
咄嗟のことで驚いて、急いでばにらの出産用に用意していた段ボールを持ってきた。
ご飯の時間と勘違いした他の2匹が足元でグルグルするのを振り払って急いでばにらを箱の中に誘導した。
鳴かない。
最初に出てきた子はばにらが念入りに舐めとってきれいな顔をしているのに、動きもせず鳴かなかった。
タオルでつつんで持ってみると僅かに暖かさを感じる。
いくるんが携帯で調べた知識を頼りにボウルにお湯を沸かして蘇生を試みた。
10分間気道を確保して心臓マッサージを試みたがついにその小さな体は冷たくなってしまった。
父親のメープルに似た赤毛の子だった。
その後次々に出産し、全部で4匹産まれた。
残りの3匹は自力で母親の乳首を探して動き回り、元気に鳴いている。
うごかなくなった子をどうしたらいいかわからずタオルに包んだまま母親の元に返した。
野生動物の場合は人間の匂いがつくと自分の子と認識しなくなるというが、ばにらは冷たくなった子も熱心に毛繕いしていた。
血塗れになったシーツを洗濯機に投げ込み、いくるんが入れてくれたお茶を飲みながらこれを書いている。
死んでしまった子を直視できない。
動物病院が開く時間になった電話して聞いてみようと思う。
慌ただしい朝だった。