さよならフェンネル

 

2020年7月16日に我が家の新しい家族となったフェンネルは、同年9月5日に突然亡くなりました。生後2ヶ月に届きませんでした。

 

親猫のばにらとメープルがかかっていた病院で子猫たち三頭を見せたところ、フェンネルだけ「漏斗胸の疑いがある」と告げられました。

調べたところ、肋骨が変形して肺や心臓を圧迫する恐れのある先天性の障害であることがわかりました。

言われてみると確かに他の姉妹に比べてミルクの飲みが悪く、日が経つごとにどんどん体格・体重に差が出てきました。

 

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子猫に歯が生えてきて離乳食を試す時期になっても、やはりフェンネルはたくさんご飯を食べることができませんでした。

子猫用のカリカリをお湯でふやかしたり

 

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子猫用のマグロのパウチを混ぜてようやく食事をしてくれるようになり「たくさん食べてこれから大きくなるんだぞ」とおまじないをかけながら過ごす毎日でした。

 

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獣医さんには「口呼吸するようになったら危険信号なので、すぐに連れてきてください」と言われていましたので肩で息をするような様子はあれど、まだまだこれからだと思っていました。

5日の朝、前日の夜にご飯を食べ過ぎたせいか、いつもならフェンネル専用のルンバレストランに飛んでくるのが、ずっと眠たいような様子でゲージから出てきませんでした。

ケージから出てきたと思っても、ソファの下やワゴンの下に横たわってずっと眠っていたので、膝の上に乗せて撫でてあげました。

 

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スヤスヤと寝息が聞こえているのを感じながら携帯で動画を撮ったり写真を撮ったりしていると、突然起きて椅子に座っている私の膝から床に向かって飛び降りました。

そのままトコトコとお気に入りのワゴンの近くまで歩いて行き、そこでまた眠り始めたので「だんだん元気にやんちゃになっていくなあ」としか思いませんでした。

その時に強く胸を打ったことに気がついて、病院に連れて行けばよかったと、今でも後悔しています。

 

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短期間に幼い命を次々に亡くし、正直とても憔悴しています。アニスとネルの元にいきたいと強く願っても上手くいきませんでした。

 

香川県で幼子を車内に閉じ込めて熱中症で死なせた母親のニュースが巷を騒がせています。

なぜ何もしていない命ばかりが失われて、あの母親のような人間がのうのうと生きているんだという憤りを感じると同時に、なぜ私は生きているんだという絶望をも感じました。

 

炉から出てきた骨を、アニスと同じ骨壺に納めた後、人目も憚らずメソメソと泣き続ける私にお坊さんが話しかけてくださいました。

 

「この子は何歳だったんですか」

 

「今月の16日で2ヶ月でした」

 

「それはお気の毒に。どうして亡くなられたのですか」

「気がついたら呼吸が止まっていて」

 

「病院につれていって?」

 

「はい。蘇生してもお医者様は戻ってこない可能性のほうが高いとおっしゃられて、そのまま亡くなってしまいました」

 

「そうだったんですね。きっと苦しいのは一瞬だったと思いますよ。長く苦しむよりもフェンネルちゃんにとっても、飼い主さんにとっても良かったと思います。辛いでしょうが、早く元気になることがフェンネルちゃんへの一番の供養ですからね」

 

ただ涙を流しながら頷くしかありませんでした。同時に、見ず知らずの他人の心を溶かす言葉を与えてくださるこの方はなんてお優しいんだろうと、また涙が溢れました。

 

今日朝起きた時点ではフェンネルの死に向き合うのが嫌で、夫だけが火葬に向かう予定でした。

でもそんな自分勝手じゃいけないと思ってボサボサ頭のまま家を出たけど、ちゃんと供養に行って良かったと思います。

アニスと同じ骨壺に入れてもらって、夫の提案で立派な仏壇を作って、家族みんなで過ごせる場所にふたりともいます。

 

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別れはとても辛いけど、幸せな時間をありがとうフェンネル。本当に大好きでした。

 

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