うらみはらさでおくべきか

誰にでも嫌いな人の一人や二人いることと思うが、嫌いな人との距離の取り方は人それぞれ違う。

私の場合「相手によって距離の置き方が違う」ということがこの間いくるんと話している最中に発覚したので、本題に当たる前にその基準を書き留めておこうと思う。

 

  1. 一方的に嫌われている
  2. 価値観が合わない
  3. 具体的な被害を受けた

 

人伝だったり本人のSNSで私を嫌っていることが発覚した場合。

人それぞれ相性があるのは大前提だし、嫌われてるとわかっている相手とわざわざ関わる趣味はないのでシンプルに放置。

 

実際に関わる中で価値観が合わないと感じる場合。

価値観が合わないこと自体は別に悪いことではないが、金銭感覚やリテラシー付近で合わない場合はFOしていく。

まず私が特殊な考え方をする自覚があるので、価値観が合わない相手に問題があるわけではないので仕方がない。

 

決定的に私が傷つくような仕打ちをされた場合。

例えばいじめだったり、嫌がらせの文言を送りつけられたり、何かを破損されたりなどなど。

被害者と加害者の立場を明確にした上で、改善されないようであればその仕打ちを周りの人間に周知させ証人となってもらった上で切る。

ちなみに1の人が直接私に言ったわけではない情報を伝言してくる人間もここに該当する。

 

とまあ大きく分けるとこんな具合に対応を変えている。

私は人付き合いにおいては狭く深いタイプなので、そもそも友人が少ない。互いに誕生日を祝う間柄は友人で、それ以外は他人くらいの心構えでいる。

これを読んで「あ、自分誕生日お祝いしたことないから他人だと思われてる」と思う方は申し訳ない。私の誕生日は4月28日なので今後は全力で祝って欲しい。ついでにあなたの誕生日も教えてください。

 

閑話休題

他人から嫌われていようが私は構わないし、私の目の届かないところで達者にやっていてくれとすら思うが、たまに目の届く範囲でわざと嫌いな素振りを見せて、こちらの反応を見て楽しもうとする嫌な輩がいる。そして友人と認めていた相手がよりにもよってそういう人間の肩を持つようなことが起きたりする。

そんな時は仏のような顔立ちの私も流石に不動明王よろしく、しかめっ面になる。

今回書きたいのはそんな話だ。

 

 

理不尽

話は私が高校生だった頃に遡る。

私は当時男友達が多く、側から見たらいわゆる「オタサーの姫」状態だった。正確な内情を説明すると、私は置き物としては魅力的でなかったので女としてではなくただ「趣味が合う友人」としてグループにいた。もっというなら誇り高きいじられキャラだった。

そのグループ内に他クラスの女子がふらっと入り込んできた。グループの男子の一人が付き合い始めた彼女だ。その女子を仮にNとする。

当時グループの人間はTwitterを相互にフォローし合う仲だった。

ある日私は(グループのうちの誰だか忘れたが)複数の人間が私の知らないアカウントと親しげに話している様子を目にした。そのアカウントを辿るとどうやら同じ学年の他クラスの人間であることがわかった。

そしてNであることを確信した時、ある呟きを見つけた。

 

「1組の(私の本名)ってやつ嫌い」

 

スクリーンショットを撮っていたらここで晒してやるのに、当時の愚かな自分が憎たらしい。

とにかく私はこの瞬間「私は特に話したことのないNという女に嫌われている」という情報がしっかり刻み込まれた。

まあ恐らく、冒頭に書いたように私は側から見ると「姫」なので、自分の彼氏の周りをブンブン飛び回る邪魔な虫に見えたことだろう。

しかし事実は、私はその中の友人と恋人関係になったことは一度もないし、彼女ができて嬉しそうな友人を誑かすような真似は一度もしていない。そもそもお互いにタイプじゃないし

私は「ただ存在していただけで一方的に嫌われてしまった」と少なからずショックを受け、次第にそのグループの人たちとは疎遠になっていった。

 

 

蘇る記憶

高校卒業から数年。成人してアルコールを嗜めるようになった頃、私は男子グループから抜けた後に仲良く出かけたりするようになった友人2人と、男子グループの中でも比較的クラスの女子と交流が多かった男子1人との飲み会に参加していた。この男子を仮にUとする。

遅刻してしまった私は駆け足で約束の店に向かっていた。店に入ると3人は奥の方の席に座って談笑している最中だった。久しぶりーと挨拶して、(すぐに具合が悪くなるので)度数の高くないお酒を頼み、私も話の輪に加わった。

 

全員がそれぞれの近況を話す中、Uが自分の家に泥棒が入った話をした。それは大変だったねと言うと、実はNと同棲していた頃の話だと言う。

私はそもそもUとNが交際していたことも把握していなかったので面食らった。

そしてUはこう続けた「Nが『なんか知らんけど(私)に嫌われてる』って言ってる」

 

 

 

「Nが『なんか知らんけど(私)に嫌われてる』って言ってる」

 

 

Nが『なんか知らんけど(私)に嫌われてる』って

 

 

なんか知らんけど(私)に嫌われてる

 

 

なんか知らんけど

 

 

…………。

 

私は絞り出すように「私も何故かNさんに嫌われてるんだけど…」と言った。

あまりに情報が多く入ってきたせいでそれ以上何も言えなかった。

その場では部外者が2人いたので「なんかお互いに行き違いがあったんだね」といった具合に話が流れてしまった。

 

 

大見得

悪夢の飲み会からまた数年が経過し、先月のこと。

私の誕生日にUからお祝いの連絡が来た。私はお礼を言うついでに近況を尋ねてみると私と近い仕事をしていることがわかって意気投合し、また連絡を取るようになった。

そして別な友人とビデオ会議でオンライン飲み会をしている途中からUが参加したりして、高校時代の楽しかった頃を思い出していい気分になった。

(この日は私が久しぶりの飲酒で気持ち悪くなってしまい、途中から私はミュートになり、二人が会話をして私はトイレで吐きながらチャットを送って参加していた)

醜態を晒して迷惑をかけたにもかかわらず、優しく気遣ってくれるこの二人は大切にしていきたいなと私は思っていた。

 

そして日を改めて今度は私が二人を誘い、私はノンアルコールでビデオ会議飲み会のリベンジすることになった。

いろいろな話をした。昔話、今の話、これからの話。

主にUと私が話していた。

私はこの人たちに私の痛みを知って欲しいと思い、通院していることや自殺願望があることを打ち明けた。古典的な式典に参加することや反出生主義を拗らせて出生そのものを嫌悪していることも話した。

ブログでもそのことに少し触れているので引用しておく。

26歳になりました。 - spicecats’s blog

 

同情して欲しいわけではなかった。ただしんどいことを知って欲しいだけだったが、Uから思わぬ返答が返ってきた。

 

「俺は(私)に死なれたら嫌だ」

「友人に死なれるのってつらいよ」

「俺はもう二度とあんな思いしたくない」

「だから今はしんどいかもしれないけど、しんどい自分を一回殺してくれ」

「今の自分を殺せ」

「2年、2年かけて面白いことたくさん教えていくから。俺が。だから死ぬな」

「そのあと死んでもいいって話じゃないけど、まあそれまでは俺が全力を尽くすから、しんどい自分を一旦死なせてまっててくれ」

「みんなでスノボ行こう」

 

文章にすると寒いけど

実際こっちは素面で向こうは酔っ払いだからかなり寒かったけど

私は素敵な友人を取り戻した気持ちでいた。ああ私はなんて幸せものなんだろうと思った。

正しくない私が、正しい人に導かれて正しくなれる日が来るかもしれないと希望が持てた。

 

「また何かあったらなんでも話せよ」

「友だちなんだから」

 

そう言ってビデオ会議は終わった。夜中に始めたのに、いつの間にか時計は朝の7時を指していた。

 

 

話が違う

相変わらずUとはちょくちょくLINEで連絡を取っていた。他愛もない話、ゲームの話。

ある日「可愛い子紹介してくれ」と言われた。

「Nでええやろ」と返した。

最後にNとの話を聞いた時は付き合っていたけど、その後どうなったのか気にはなっていた。

「 N彼氏おるよ」と返事がきた。
別に嬉しくも悲しくもないが、一応話を続けようと

「(NとU)そこできてんのかと思ってたのに」というと

「あとこいつとはもうお互いそう言う関係にはならない」と断言された。

私は昔のことを思い出しながら、もしかしたら彼女の異常さに気づく出来事があったのかなと期待しながら理由を聞いた。

喧嘩して別れたという大したことのない理由だった。

 

「お互い仲のいい兄妹みたいな感じで接してるよ」
「結構定期的に電話とかしてるよ」
「今の彼氏がクソみたいで悩んでる笑」

お前それ完全にキープじゃん、と心の中で思った。

意地の悪い私は「向こうから「ヨリ戻そう」とかは言われないの?」と聞いてみたが

「お互いに恋愛感情はすでに死滅してる」

 

キープ君が良くする発言だと思った。


「すでに感覚として家族なんだよな」
「よく2人でそういう話してるし」

 

私は底意地が悪いのでこう返した

「そういう間柄なら夫婦になるっていう可能性もあるやん」
「まあ私は2人にそうなってほしいわけではないけども」

Uの恋愛や結婚に対する価値観が良くわからなかったので、掘り下げてみたい気もした。

しかし返ってきたのは「特にはないかな」の一文だけだった。

 

これ以上は無理かな、と察知した私はプライベートな領域に踏み込んだことを詫びた。

すると

「どしたの?」

と続きを促す文が返ってきた。

私はこの機会を逃す手はないと思い、Nという人間にされた仕打ちについて話を聞いてもらおうと

 

「(前直接会って)飲んだ時に『Nがなんか知らんけど(私)に嫌われてる』って言ってる」って言ってた話思い出して

(当時)は忘れてたので「私も嫌った覚えない」って言ったと思うけど

嫌な印象抱いたエピソード思い出した」

 

と送った。

どんな親身な言葉が返ってくるか楽しみにしていると数分後に

 

「まぁ本人たちの問題だし僕はどーでもいいけどね」

 

という文章が表示された。

落胆しながらも、私は自分を殺して大人な対応をしようと腹を括った。

 

SNSで人を名指し(苗字)で「嫌い」って言ったのに「なんか知らないけど嫌われてる」って言ってる人と仲良くされてる様子を聞かされると複雑ではあるけどね笑

なので別に仲良くしてるのは勝手にしていいんだけど、あまり私の前で彼女の話題は出さないくらいしてくれたら嬉しいかな

まあUのことだからしないとは思うけど、彼女には伝えないでね」

 

返事は

「うん」

だけだった。

 

 

精算をしろ

いくるん、私の夫はその一連のやり取りを横からずっと見ていた。(2回目の死ぬな会議の時は寝落ちしていたので聞いていないが)

ある時私が皿を洗っていると、彼が思い出したかのように「矛盾してない?」と口に出した。

洗い物を続けながら「何が?」と尋ねると

 

「『本人たちの問題』ってUは言ってるけど、何年か前に「Nが『なんか知らんけど(私)に嫌われてる』って言ってる」って伝えてきたのUなんでしょ?自分から首突っ込んでおいて本人たちの問題って切り捨てるのはおかしくない?」

 

理解するのに少しかかったが、なるほど、彼の疑問はもっともだ。

Uは数年前Nに「なんか知らんけど(私)に嫌われてる」と話された時点で「本人たちの問題」と切り捨てたりはしなかったはずだ。

少なからず私とNの二人の間を取り持とうとした過去があるのは事実。

そもそも何故直接彼女と私の間にコンタクトが無いにも関わらず「なんか知らんけど(私)に嫌われてる」という話になったのか。

これは直接話さなければならないと思い私は再び連絡した。

 

「何度も掘り返してすまない

ちょっと冷静になって考えたんだけど、Nはそもそもなんで「なんか知らないけど嫌われてる」って言ってたの?

 

で、本人たちの問題ならなんでUはそれを私に伝えてきたんだろう?」

 

他人の矛盾点を指摘する瞬間は、おそらく王手をかける瞬間の気分と同じものだろうと思う(私はチェスも将棋も嗜まないが)

しかしNがいつ、どのような理由で例の発言をしたのかについては返答がなく

「仲良くなってもらいたかったからとかじゃね?そんな昔の頃の事覚えとらん」という面倒くさそうな台詞が返ってきた。

 

瞬間、私の頭の中に

「死なれたら嫌だ」

「俺はもう二度とあんな思いしたくない」

「今の自分を殺せ」

「2年」

「面白いことたくさん教えていくから」

「死ぬな」

「俺が全力を尽くすから」

「また何かあったらなんでも話せよ」

「友だちなんだから」

Uから発せられたさまざまな台詞が駆け巡った。

 

そして心に残ったのは強い怒りだった。

Nという非常識な人間に傷つけられた過去を共有したかった私は消え去り、自分の発言に責任を持たない愚かな友人に裏切られ激しく憤る私に変わっていた。

 

 

「昔のことだろうが自分の発言には責任もちなよ。

仮に仲良くなってもらいたかったとしたって、私は高校時代ほとんど話したことすらない相手に一方的に悪口書かれてたのに、そういう事情も聞かないで彼女の話だけを信じて、いざ私が彼女に問題があった話をしたら

「本人たちの問題だし僕はどーでもいい」

これは矛盾だし、かなり失礼だと思うんだけど。単純に嫌な気分になった。


少なくとも私はUから
「なんか知らないけど(私)に嫌われてるっていってた」って言われるまでは“ただ一方的に人の悪口をSNSに書く女”としか認識してなかったし、人には相性もあるからと思ってなんとも思ってなかったけど、その話を2人の間でされてることを聞いて「あ、あいつ外堀を埋めてる」って思ったよ。

自分のしたこと棚に上げてUを巻き込んで「私なんで(私)に嫌われてるかわかんない」はサイコパスでしょ。
私は絶対許せないわそれ。

自分の過去の精算もしないでのうのうと生きてる女の様子を伝えられた私の気持ちに寄り添う気が無いなら、あなたが言った「2年待て」って発言とも整合とれないなとも思うし。

失望したよ。」

 

 

これを最後に返信は、無い。

それどころか既読すらつかない。Twitter同様私はブロックをしない主義だ。

つまりはそういうこと。とんだビッグマウスだ。

 

やたらタバコの存在をチラつかせたり、運転がうまいだとか、酒が強いだとかを自慢げに話して、ただのDQNじゃないか。直接言ってやればよかったな。

U、お前Nとお似合いだよ。

 

私は今晴れ晴れとした気持ちでいる。

私には素晴らしい夫がいる。

彼は誰が何を言おうと私は正しいと言ってくれる家族だ。今回の場合、実際に私は正しい。おかしいのはあいつらだ。

 

もう死にたいだなんて言わない。だってお前らみたいなクズがのさばってる世の中から逃げるみたいじゃないか。

 

彼が身内に自分が被害者であるような装飾をしてあることないこと言いふらされることを想定してこの記録を書いている。

ここに書いてあるセリフ(特に直接話していない部分)は全てLINEからの引用だ。

 

私はお前らが嫌いだ。

本名は出さない。

それはN、お前と同じ土俵に立ちたくないからじゃない、私が優しすぎるからだ。

 

このうらみ、はらさでおくべきか。